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2025.10.20  | レポート | 異能アントレチャレンジ 

【参加者インタビュー2】タリン工科大学派遣プログラム

 

“「便利さ」と「信頼」が両立しているエストニアのデジタル社会。
自分の関心分野であるAIやデジタル社会の技術的な話だけでなく、「人々の信頼をどう築くか」など、社会システムを構築するうえでベースとなる思考法にも触れることができました。”

 

● インタビュイー:小野寺 啓志さん(工学部2年)
● インタビュアー:高橋 幹成(工学部3年:アントレ学生スタッフ)

 

 

 

-まずは簡単に自己紹介をお願いします。

 

小野寺啓志です。工学部の機械知能航空学科に所属していて、現在2年生です。関心があるのはAIやロボット系の分野で、今後はその方面のコースに進みたいと考えています。

 

 

-今回のエストニアのプログラムに参加しようと思ったきっかけは?

 

もともとAIやDXの分野に関心があり、このプログラムの募集を見たときに「DX」という言葉が目に入り、すぐに興味を持ちました。

また、普段からプログラミングをしていて、ウェブサイト開発を行う団体に所属していました。さらに、PBLの活動もしていたので、課題解決というテーマにも関心がありました。このプログラムのテーマが「デジタル技術を用いた課題解決」だったので、自分の興味が交差する場だと感じ、参加を決めました。

 

 

-参加前に不安はありましたか?

 

海外経験は、入学前研修でハワイ大学に短期留学したことがあったので、現地生活にはあまり不安がありませんでした。ただ、英語でデジタル政府などの専門分野を学ぶのは初めてだったので、そこにちゃんとついていけるかが不安でした。

事前にオンライン教材が配られていたので、全く分からないということはありませんでしたが、それでもかなり苦労しました。ギリギリついていけた感じです。

 

 

-特に印象に残った授業はありますか?

 

技術的な問題に関して興味がありましたが、デジタル統治となるとその前に技術的な話だけでなく、社会システムを構築するうえでの、「人々の信頼をどう築くか」や「ワンスオンリー原則(すべての行政機関がX-Roadを通じて情報を安全に共有することで同じ情報を複数回求めることがないようにすること)」のようにベースとなる思考法など、統治の思考法に触れられたのが新鮮でした。

 

 

-現地で印象に残った仕組みやシステムはありますか?

 

エストニアでは、IDカードをパソコンに直接差し込んで使う仕組みがあって驚きました。 マイナンバーカードのようなものですが、カードリーダーなしでPCに直接差せるのが印象的でした。物理カードを使うことで、完全デジタルよりも安心感があるのではないかと思いました。停電やハッキングといったリスクからある程度独立できる点も興味深かったです。

 

 

-制度や社会の仕組みで印象に残ったことは?

 

エストニアのデジタル社会では「便利さ」と「信頼」が両立している点が印象的でした。行政手続きが一つのポータルサイトで完結する便利さが、まず信頼を生む第一歩になっていると感じました。

同時に、セキュリティ面でもブロックチェーン的な仕組みなど、分散型で透明性のある設計がされていて、信頼の基盤になっていると感じました。

また、タリン工科大学の学生が「4桁のPINコードが最高レベルのセキュリティだ」と言っていたのも印象的でした。最初は驚きましたが、IDカードの発行自体に信頼があるため、それが成り立っているのかもしれません。

 

 

-最後に、今回の経験を通じて感じたことや今後への思いを教えてください。

 

もっと事前にエストニアや日本の現状を日本語で調べておけばよかったという後悔があります。また、英語力ももっと高めておくべきだったと感じました。それでも、自分の関心分野であるAIやデジタル社会を現地で学べたのは貴重な経験でした。

 

 

 

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【タリン工科大学派遣プログラム】
このプログラムは、エストニアのタリン工科大学と連携して実施するDX人材育成プログラムです。タリン工科大学で実施されているe-Governance(デジタル技術を用いた行政・社会改革)の現地プログラムを受講する他、仙台市等と連携したフィールドワークを実施して、デジタル社会をデザインするための様々な考え方(マインドセット)を講義と実習形式で学びます。

 

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★プログラム参加者の声【参加者インタビュー1